2009年12月5日土曜日

利休のエピソード




清掃にまつわる千利休のエピソード。



ある日、息子の紹安(しょうあん)が露地を掃くのを眺めていた利休は、紹安が清掃を終えるやいなや、やりなおしを命じます。



「まだ、きれいになっていない」



父の言葉を聞いた紹安は、さらに一時間もかけて清掃をやりなおし、くたびれはてて利休に言いました。



「父上、もうこれ以上すべきことはなにもありません。飛び石は三度も洗いましたし、灯籠にも樹にもたっぷり水を打ちました。地面には小枝一本、木の葉も残していません」



しかし利休は、未熟者と言って紹安を叱りつけたのです。



「露地というものは、そのように清掃するものではない」



いきなり利休は庭におりて一本の樹をゆすり、金色や深紅に染まった木の葉を庭いちめんにまき散らしました。



利休は単なる清潔さだけではなく、自然な美しさを求めたのでした。



0 件のコメント:

コメントを投稿